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1970年生まれ。 京都教育大学教育学部国文学科卒業。 現在大阪市内の市立小学校教諭。 大学で児童文学を研究。現在も子ども達に児童文学の読みきかせを実践。 大阪の児童書専門店の草分け「木馬館」(2003年に惜しまれつつ閉店)の ホームページに「児童文学案内:現場からの報告」を連載。 当ホームページでは、上方が舞台になった児童文学、 上方出身の作者が書いた児童文学を取り上げ、紹介していただく予定。 2008年8月 更新分! 『がまんだ がまんだ うんちっち』 作・絵:梅田俊作、佳子、海緒 出版:岩崎書店 小学校1年生たちは、すこし学校に慣れたでしょうか。 学校で排便もできるようになったかな。できなくて困っている子どももいるのでしょうね。なんだかいとおしくなります。 みおくんも1年生。下校前にトイレに行ったけれど、上級生が掃除をしていたので、入らずに下校してしまいました。今、おしりがむずむずしています。どうしようか考えて、友達の家に行ってみたり、商店街のお店トイレを借りようとしてみたり、でも、留守だったり、何も言えなかったりで、トイレには行けません。もう限界です。と、その時、目の前に緑の茂みが見えました。みおくんは、ズボンもパンツも脱ぎ捨て、茂みに直行します。このときの絵が最高です。草の中でしゃがんで見上げた空にぽっかり白い雲が浮かんでいる・・・ 絵本って本当に芸術作品だと思います。読んで、ああわかるわーと共感させられるだけにとどまらず、あったかーくて、そして、なんとも上品なのです。 きっと、作者のお子さんの海緒(みお)ちゃんの体験が元になっているのでしょう。それがこんなすばらしい絵本になるなんて感動です。 最後のお母さんの「がんばったのねえ、みおくん。あわてないで かんがえられることをぜんぶ やってみたのね。えらいわよ。」言葉が読者みんなを包んでくれます。 あたたかい言葉、優しい芸術をいっぱい味わいたいですよね。 2008年7月 更新分! 『ぼちぼちいこか』 文:マイク・セイラー 絵:ロバート・グロスマン 訳:今江祥智 出版:偕成社 春っていいですよね。大好きです。この春が訪れてくる気配とか、春があふれている香りとか、子どもたちとゆっくり味わいたいなと思います。でも、バタバタと学年末を過ごしてしまい、そして、また、新年度を迎え、走り出してしまっています。ああ、ゆっくりしたい。 『ぼちぼちいこか』なんてすてきなことばなんでしょうね。人のこころを救ってくれることばですよね。ことばってすごい力があります。 原作の題名は知りませんが、大阪出身の今江祥智さんがなんと上手に訳してくれていることか…大阪弁が誇らしく思います。 何をやっても失敗してしまうカバの失敗の様子に、もう絶妙な大阪弁がそえられています。 そして、どないしたらええやろと、ふと立ち止まり、ま、ぼちぼちいこかということや、で結ばれるのです。 四月、初めての参観などのあと、緊張して頑張った子どもたちと、その子どもたちを見守ってくれたおうちの方の前で、読み聞かせて「ぼちぼちいきましょうね」と呼びかけました。 2008年6月 更新分! 『春菜ちゃん』 文・絵 山中 茂子 ツイーム出版 毎年、1月17日には阪神淡路大震災の話を教室でしています。今年の4年生は、あの地震のときよちよち歩きのときだったり、首が据わったころだったり、まだお母さんのおなかの中にいたのでした。 この絵本の春菜ちゃんもお母さんのおなかの中にいました。 超音波の検査で、おなかの中の赤ちゃんの腎臓が悪いということがわかり、出産予定日より1週間余り早めの1月16日に、お母さんは入院することになりました。そして、次の日あの地震が起きたのです。自宅のお母さんの寝ていたところに衣装ケースが4つも落ちてきました。でも、早めに入院していたのでお母さんは無事でした。春菜ちゃんの生まれてこようという力が、お母さんと自分を守ったのです。そして、ちゃんとみんなの中に生まれでてきたのです。どんな命だって生まれ出てきたということは、ものすごい奇跡です。私もわが子を出産し、ここに奇跡があると痛烈に感じました。そんな思いもこめつつ、一生懸命子ども達に読み聞かせました。コルネリア・デ・ランゲ症候群という重い障害のため、7年と3ヶ月の生涯でしたが、みんなの中で春菜ちゃんが育っていった様子が、詩のような短い文とやさしい絵で綴られています。 読み聞かせたあと、自然とわいわい感想が湧き上がる本もありますが、私は、私から感想をもとめることはしません。この本を読み聞かせたあと、黙って真剣な顔をしていました。この本に出会わなければ、自分が知り得もしなっかた命の存在を子ども達は静かに感じ取ってくれているようでした。 2008年5月 更新分! 『おにはうちふくはそと』 文:西本鶏介 絵:村上 豊 出版:チャイルド本社 日本の四季折々の行事や風習は、すばらしいものが多く、残していたいなあと思います。子ども達に本を読み聞かせるときも、季節の移り変わりなどにも興味を持ってほしいので、季節に合ったものを読み聞かせるようにしています。節分のころには、鬼の出てくるものを楽しんでいます。いろんな鬼がいるものです。奈良県出身の西本鶏介さんの「おにはうちふくはそと」に出てくる鬼は、なんともいい味を出しています。日本の風習を残したいって言いながら、「おにはうち」ってなんか間違ってないですかって、そう、間違ったのです。豆まきの豆さえ買えない貧しいお百姓の男とそのおかみさんが、仕方なく声だけの豆まきをすることに。でも、悔しいやら恥ずかしいやらなかなか声が出てこない、やっと、こえをはりあげたら「おにはうちふくはそと」と間違えちゃったのです。さあ、喜んだのは赤鬼と青鬼。男の家に飛び込んできて「いやあ、助かった。わしら、どこの家でも追い払われて困っていたところだ。今夜、泊めてくれ。」というから、おっかなびっくり。「食べてもらう米がない」と震えながら言うと、「そんなら、このふんどしをやるから、米と取り替えてこい」と自分のしめていたふんどしをはずして、おかみさんに渡すのです。もう、聞いている子ども達は大笑い。これは珍しいと高く売れるから、また、大笑い。“笑う角には福来る”結末の鬼のセリフもまた、味があって、あったかくって、この男とおかみさんにも、そして、子ども達にも福が来て、めでたしめでたしです。 2008年4月 更新分! 『じごくのそうべえ』 作:たじまゆきひこ 桂米朝・上方落語・地獄八景より 出版:童心社。 教室で本の読み聞かせをしていると、本の力というものに本当に思い知らされます。さらに、名作の力に思い知らされます。名作はあっという間に子ども達を物語の世界に連れて行ってくれます。「じごくのそうべい」もその名作の一つ。上方落語を田嶋征彦さんが見事に楽しい絵本にしてくれています。「地獄」という言葉と田嶋征彦さんの絵が強烈に子どもに印象付けるようで、どの子もみんなこの本を「知ってる、知ってる」 と、題名を読むだけで喜んでくれます。こちらもできるかぎり落語家のようにはりきって読んでいきます。「とざい、とうざあい・・・・・」軽業師のそうべえは、一世一代の軽業の綱渡りを披露中、綱から落っこちてしまいます。気がつくとそこは地獄の入り口。そして、閻魔大王様に、「そうべえお前は、はらはらするような軽業で見ている人の寿命を縮めたによって地獄行き」と、医者のちくあんと山伏のふっかいと歯科医のしかいとともにあっさり地獄へおくられてしまいます。「そんなむちゃな。それが商売やのに・・・」、なんて言っているうちに、糞尿地獄に入れられたりじんどんきにのみこまれたりたりします。 ところが、じんどん鬼のお腹の中で、くしゃみの出るひもをひっぱたり、へぶくろをけったり,その度にじんどんきから、“はっくしょん”やら“ぶー”が出るわ出るわ、もう子ども達は大うけ、ふんどんきはへろへろ。もうこの者達は地獄でも手に負えんということで四人ともこの世へ送り返されてめでたしめでたし。 この物語が気に入った3年生のみおちゃんは放課後、この本を手にとりお友達に声を出して読んであげていました。さすがは大阪の子。言い回しの上手なこと。名作をすっかり自分のものにしていました。まさに、声に出して読みたい絵本です。 |
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